アクセス解析と呼ばれるサービス・ツールを導入すると、Webサイトがどのくらい活用され、どのくらい利益を上げているかを計測することができます。

このアクセス解析は様々な会社によって開発・提供されておりますが、その仕様もまた様々でして、Webサーバ自体が持っているログをベースに計測するものや、専用のハードウェア(サーバ)を導入して計測するものなどいくつか存在します。

中でも、現在最も多く採用されている仕様はビーコン型と呼ばれるもので、Webサイトに小さなJavascriptのコード(以下、計測タグ)を埋め込み計測する方法です。おおよそ全てのビーコン型のアクセス解析を提供しているサービスへ登録すると、登録されたWebサイト専用の計測タグが発行されるので、それを計測対象となるWebサイトの全ページへコピー&ペーストすることで計測が開始されるという導入が極めて簡単なものとなっております。

世界で最も使われているであろうGoogle アナリティクスもこのビーコン型のアクセス解析に分類されます。

このビーコン型ですが、基本的にCookie(クッキー)を用いて訪問者(ユニーク)を特定し、訪問数(セッション数)を定義・集計したり、コンバージョン数をカウントしたりする形となっております。

今回は、このビーコン型で使われているCookieについて書いていきたいと思います。
まずはおなじみWikipediaより、Cookie(クッキー)とは

RFC 6265などで定義されたHTTPにおけるウェブサーバとウェブブラウザ間で状態を管理するプロトコル、またそこで用いられるウェブブラウザに保存された情報のことを指す。ユーザ識別やセッション管理を実現する目的などに利用される。
Wikipediaより http://ja.wikipedia.org/wiki/HTTP_cookie

要するに、
必要に応じて、サーバからの指示によりブラウザがあなたのパソコンへ情報を書き込んだり、渡したりする代物がCookieでして、これにより、ログイン状態が維持されたりします。(この辺りは次回予定している「アクセス解析の基礎技術:Session(セッション)編」で)

この「必要に応じて」が肝要でして、Cookieには任意の情報を入れることができますが、厳格なルールに基づいてブラウザが処理しています。厳格なルールとは、一言でいうとCookieをやりとりする相手の情報です。これがマッチしない限り、ブラウザはCookieへ情報を書き込んだり、中身の情報を渡したりしません。ブラウザがCookieのやりとりを許可するサーバを特定する情報としては、
・ドメイン
・パス
・セキュアな通信か否か
が挙げられます。
よって、google.co.jpから書き込まれたCookie情報がyahoo.co.jpへ渡されることはありませんし、その逆もまた然りです。
※その他Cookie(クッキー)には有効期限や、「ブラウザが閉じられるまで有効」なCookie(クッキー)もあります。

ではこのCookieとアクセス解析はどのような関係があるかといいますと、単純に言うと、数あるアクセスの中かからあなたのアクセスを識別する為に使われております。識別さえできればいいので、Cookie(クッキー)に書き込まれる情報としては、アクセス解析ツール側にとってのみ意味のあるランダムな文字列や各種情報となります。

具体的に見て行きましょう。

例えば、GoogleAnalyticsの「標準のアナリティクス」の場合、
__utma = 125208729.1356307873.13…1377419161.1377419161.1
__utmb = 125208729.1.10.1377419161
__utmc = 125208729
__utmz = 125208729.1377419161.1.1.utmcsr=(direct)|utmccn=(direct)|utmcmd=(none)
といった4つのCookie(クッキー)であなたを識別しております。加えてそれぞれに、Google アナリティクスを設置しているドメイン、指定されたパスが「Cookieのやりとりを許可するサーバを特定する情報」として記録されております。また、__utmcは「ブラウザが閉じられるまで有効」なCookie(クッキー)となっています。
(※厳密にいうとあなたを識別する為に上記4つ全てが用いられておりません。詳しくは別の機会に書きます)

また、同じくGoogleAnalyticsの「ユニバーサルアナリティクス」の場合
_ga = GA1.3.1356307873.1377419161
といった1つのCookie(クッキー)であなたを識別しております。こちらも同様に、GoogleAnalyticsを設置しているドメイン、指定されたパスが「Cookieのやりとりを許可するサーバを特定する情報」として記録されております。
(※「標準のアナリティクス」と「ユニバーサルアナリティクス」ではCookieの数が減っています。この点も大変興味深いので詳しくはまた別の機会に書きたいと思います)

これらのCookieによってビーコン型のアクセス解析は訪問者数(ユニーク数)をカウントしたり、訪問数(セッション数)を定義しカウントしたり、その他様々な数値を集計しております。それぞれあなたを識別する為に書き込まれた情報ですので、これらのCookieを削除しますと、アクセス解析はあなたをまったく新しいアクセスとして識別し、カウントします。

以上、Cookieの説明と、ビーコン型アクセス解析との関係を簡単ではありますが書かせていただきました。誤解のない範囲で詳述を避け、なるべく平易にしたつもりですが、ご指摘等ありましたら、コメントなど頂戴できればと思っております。

今後も、アクセス解析並びにGoogleAnalyticsを中心に記事を書いていきたいと思います。