今回は、私たちSO Technologies株式会社がご提供しているインターネット広告運用代行サービス『CUSTA(カスタ)』の、マクロ活用事例をお伝えします。

『CUSTA』という運用代行サービスが、通常の広告代理事業を担う企業様と異なる点は、広告主となる事業会社様からは案件をお受けせず広告代理店のみにサービス提供をしていること。また、運用代行だけではなく運用業務の改善まで行っており、業務過多・運用者の残業問題・労働集型のビジネスモデル・生産性の改善など、運用型広告領域特有の悩みを抱える広告代理店を支援しています。

『CUSTA』チームも多くの広告代理店と同様の悩みを抱えていましたが、2019年から2年かけて運用業務の大改革を行い、結果として大幅な工数削減と、サービスの質を向上させることに成功しました。今後は、この成功事例とノウハウを日本全国の広告代理店へと展開していきたいと考えています。

今回の社内インタビューでは、運用業務改革として実施した「マクロ活用」「RPA活用」の2点をピックアップし、サービスのご紹介とともに、どのように運用業務改善を実現したのかをお伝えいたします。

広告代理事業の生産性向上に課題を抱える広告代理店企業様は、ぜひご一読ください。

Summary

 課題          業務過多/残業問題/運用ミスの増加
 マクロでの自動化業務  入稿ファイルのCSVファイル作成/外部ツールのパラメータ発行/
             請求書発行/次月終了継続一覧データ作成 など
 効果・成果       平均残業時間が1/2に
             マクロによってチームで約60時間/月の工数削減
             ミス率1.3%→0.2%に削減
             運用者のモチベーション向上
             キャリアプランが広がり、離職・異動率が低下

国吉 
 CUSTA事業本部 CS部 部長
 国吉 大樹

 東京・沖縄に属するCS部の部門統括および、マーケティング・セールス、既存クライアント(広告代理店)のフロント対応を担当。

井内 
 CUSTA事業本部 CS部
 井内 汐梨

 運用代行業務と、代理店の業務効率化・運用担当者育成のサポートを行う。CUSTA内でのフロー設計やマクロ、GAS開発なども担当。

※所属・役職等は取材時点のものとなります。

▶▶▶CUSTAについて

インターネット広告運用代行サービス『CUSTA』についてお教えください。

国吉: 『CUSTA』は「広告代理店の運用者の働き方」を運用代行で改革するサービスで、サービス名は“カスタマイズ”が由来となっています。広告代理店のそれぞれの課題、強みやサービスレベルに沿って、ご支援内容や体制をカスタマイズしてご提供しています。現在、『CUSTA』を広告代理店のみにご提供している理由としては、私たちが1社広告代理店をご支援することで、間接的に、その先にいる数百、数千社の事業会社様をご支援できると考えているからです。

具体的には、どんな課題をどのように解決できるのでしょうか。

国吉:『CUSTA』では、主に小~中規模の広告代理店に対し、主要な課題となるリソース不足とスキル不足を解決するためのご支援をしています。具体的には、リソース不足に陥る原因となる運用業務の中でのノンコア業務(※1)を我々にアウトソースしていただくことで、力を注ぐべきコア業務(※2)に集中していただける環境をつくることが可能です。また、スキル不足課題に対しては、運用体制の効率化・運用業務の生産性改善スキルをご提供しています。広告効果の改善といったWebマーケティングスキルを習得できる場はありますが、業務自体を改善して運用生産性を向上するためのスキルはあまり展開されておらず、苦労されている広告代理店は多くあります。『CUSTA』チームも数年前までは業務過多や残業問題がありましたが、この2年でチームの働き方の変革に成功した知見を多くの広告代理店へ広げ、一緒に業務改革を進めていきたいと考えています。

※1 ノンコア業務:コア業務を支援するためのもので、業務自体で利益を生まない業務。本記事においては、運用業務における入稿・入札・レポーティング業務を定義。
※2 コア業務:利益を生むための直接的な業務。本記事においては、提案・改善・コンサルティング・お客様対応業務を定義。


▲運用業務の工数比率の参考例。全業務の40~60%が、システム化やアウトソースできる業務となっている。

『CUSTA』のチーム体制をお教えください。

国吉:東京・沖縄の2拠点を合わせて約30名の体制です。生産性改善や業務効率化などを担うBD部と、顧客様へのフロント対応を担うCS部があり、メンバーは運用業務に加えて、BD部やCS部として特化した業務を担当しています。沖縄の広告運用代行=オペレーションセンターとしてイメージされがちですが、『CUSTA』の場合は、業務の案件や難易度で分けることはなく、沖縄メンバーがクライアント(広告代理店)への対応をすることもあり、東京と沖縄で変わらない役割を担っています。

▶▶▶テクノロジー活用の背景

属人化とノンコア業務負担による残業時間に課題が。事業部全体で標準化と自動化を推進

マクロやRPAを活用して生産性を上げたとのことですが、活用前の課題ときっかけをお教えください。

井内:1番は残業時間が課題でした。原因は2つあり、1つは属人化していること、もう1つがノンコア業務に充てる時間が多かったことでした。『CUSTA』チームでは、自社ツールのATOMを利用しているためレポートや進捗管理は効率化できています。一方で、予算進捗の調整や、入稿や請求書作成など、ルーティン業務として毎日、毎週、毎月発生する業務にどうしても時間がかかっていました

国吉:2018年以前は、設定していたサービスレベル以上のことを提供するようになっていた時期がありました。例えば、安くて速くておいしいが売りの牛丼屋を目指していたのに、私たちセールスが、料理人が得意ではないピザや寿司の注文を取ってきてしまっていたような状況で、これでは時間も掛かり、ミスも多発し、運用者も疲弊してしまう。この状況を改善するために、時間やコストを抑えながら品質を上げていく必要がありました。

井内:部の方針として、残業削減・品質向上、そして生産性改善に力を入れると決まったこともあり、現場の私たちも業務改善をテーマにやり方を模索していました。マクロに関しては、その時点でチーム内にも扱えるメンバーがおり、活用していく方針になりました。

チーム内でどのようにマクロ活用を進めたのでしょうか。活用を進めるための時間の捻出方法についてもお教えください。

国吉:自動化、効率化を進める前に、その時間を作るためにサービスレベルの標準化を行いました。先ほどの例えで表すと、受け付ける注文を本来の牛丼のみに戻した形です。サービスレベルを守り、その中を充実させて質を上げていくことに専念していました。2019年には、会社全体の方針としてお問い合わせの受付時間を設定したことも大きく、結果、マクロやRPAなどの自動化を推進する時間を捻出できました。

井内:学習やスキルアップに関しては、基本的には書籍やサイトを活用して自己学習・自己研磨で進めています。また、週次で有志が集まり、業務時間内に勉強会・自習会を開き、わからない部分を相談し合ったり、フィードバックをする時間を設けました。着実にスキルアップできたのは、各自が個人の評価目標に掲げていたことも大きいと思います。


▶▶▶成果

実際にマクロを活用した事例をお教えください。

①入稿CSVファイルの作成

媒体の新規入稿に必要なCSVファイルを生成する。キーワードや広告文の情報をExcelの所定の箇所に埋めると、自動でアカウント構成が完成する。アカウント構成業務において、作業的な部分が大幅に削減。
月間約38時間、96%削減を実現。


②効果計測ツールのパラメータ発行用CSVファイルの作成

URLの末尾につけるパラメータ発行用のCSVファイルを生成する。本来、所定のフォーマットにコピー&ペーストを繰り返して項目を埋めていたが、マクロ仕様によりほぼ手作業なしでフォーマットが完成する。機械的作業で、工数負担が大きい業務を改善。
月間約2時間程度の工数削減を実現。


③請求書作成

クライアントである広告代理店に提出するための、定型フォーマットに合わせて生成。代理店ごとに必要な情報やフォーマットが異なるため、主に月初の業務負担が大きかった工数を削減。
最終的にはすべての広告代理店向けに活用予定で、1社あたり10分程度の工数を削減。

④次月終了継続一覧

広告代理店に提出するもので、案件の継続・終了の一覧を自動で作成。運用を『CUSTA』に一任いただいている場合、先方の営業担当からの依頼情報を、CUSTAチームを介して先方の運用担当者へ共有する際に利用する。
月間約45分程度の工数削減。

課題だった残業時間と品質面で、成果は見られましたか?

国吉:チームの平均残業時間は、2018年当時と比べると1/2以下まで減りました。

井内:マクロのみだと一人あたりは月3時間程度の削減ですが、チーム全体で月60時間削減と考えると大きいですね。

国吉:あとは、ミス率がかなり減りました。一時期1.3%程度まで増えてしまっていたミス率は、今は0.2%程度です。広告運用業務はどうしても一定のミスは発生してしまう構造ですが、現在は全体で月に1件あるかどうかまで減っており、安心してご利用いただけているかと思います。

チームメンバーの働き方、モチベーションに変化はありましたか?

国吉:メンバーのキャリアの選択肢が広がったことは大きいですね。広告運用者、特にオペレーション出身者のスキルアップの方向性は、基本的にコンサルティングを辿るか対応媒体を増やすなどが中心です。一方で、3年ほどオペレーション業務をやっていると一通り学び終わり、退職や異動を選択する人が非常に多い職種でもあります(業界でも課題に上がりがちな“3年問題”)。今回、「広告代理店の業務改革」をテーマにマクロ開発やRPAなど担当領域が広がり、社内運用・広告代理店への貢献度を実感することで運用者のキャリアの選択肢が広がり、異動や退職もぐっと減りました

井内:広告代理店にとってのノンコア業務は、私たちにとってもほとんどがノンコア業務となるため、ここを削減できたことで、私たちが力を入れたいコア業務(お客様対応や広告改善、マクロ等の開発業務、運用生産性改善)に時間を充てられるようになりました。また、精神的に億劫な作業が全くないため、仕事へのモチベーションも上がりました。スキルアップのスピードも上がり、自分自身の成長も感じられていますし、当初4人しかできなかったマクロ開発を今はチームの約半数ができるまで成長しました。ミスがあると暗い雰囲気になってしまうのですが、今はミスもほぼ起きないので、チーム全体が明るく楽しく仕事ができるようになりました!

国吉:セールス担当としても、これまで以上に自信をもって自分たちのサービスを提案できるようになりましたね。広告代理店内でオペレーション業務をするよりも圧倒的に生産性が高い自信があり、さらに高いクオリティの提供ができるかつ、ミスもほぼないので、胸を張ってご提案できています


▶▶▶メッセージ

CUSTAがご支援することで、広告代理店それぞれの強み・付加価値を高めることに専念してほしい。

サービスの目指す形をお教えください。

国吉:繰り返しにはなりますが、標準化・自動化の取り組みによって、私たち自身が実際にノンコア業務からコア業務へとシフトでき、残業を減らして質を上げるということが実証できました。チームとしても貴重な体験ではありましたが、今後は培った成功体験やスキルをより多くの広告代理店に展開していくことで、さらに『CUSTA』の価値向上へと繋げていきたいと考えています。オペレーションを極めたメンバーが業務改革までご支援できることは、チームにも広告代理店にとってもプラスになっていると考えています。

広告代理事業を担う企業様へ向けて、メッセージをお願いいたします。

国吉:ヤフー、Googleなど媒体の最適化・運用自動化が進む中で、“運用スキル”だけでは差別化にならない時代が近づいていると考えており、これからは広告運用以外の強み・付加価値を強化していく必要があります。もし、広告代理店それぞれの特徴や強み、付加価値を伸ばせていない原因が、ノンコア業務の負担にあるとしたら本当に勿体ないと考えています。そのノンコア業務を私たちにお任せいただくことで、強み・付加価値をより伸ばすことに専念いただけたらなと思います。

井内:今後は、私たちの開発したマクロでより運用生産性が改善されたCUSTAをご利用いただいたり、実際に広告代理店にもマクロを活用いただくなどで、さらに作業時間を短縮してコア業務に専念していただきたいと考えています。業務効率化といっても、どこから手を付けるべきかわからない、行動イメージを描くのが難しいといったお悩みも伺いますが、効率化したい!という気持ちさえあれば、最初の1歩を私たちがサポートできればと思いますので、ぜひご相談ください。


さいごに

今回は社内インタビューとして、私たちSOTが提供する『CUSTA』のマクロ活用事例インタビューをお届けしました!

広告代理事業を担う企業様が、もしリソース不足や業務生産性を上げたいというお悩みをお持ちであれば、一度『CUSTA』チームへご相談ください。
ぜひ、解決のお手伝いをさせていただければと思います。

社内インタビュー第2弾は、『CUSTA』チームのRPA活用インタビューを準備中です。そちらもお楽しみに!


広告運用の業務改革までサポートする
インターネット広告運用代行サービス